今回は前回に続き、管理栄養士の裏側の第2回として管理栄養士の就職状況について書いてみたいと思います。あくまで地方のいち私立大学の現状ですが、概ねどこの私立大学でも同じような現状であると思います。
管理栄養士とは栄養士の上位資格で、主に病院などで献立作成や患者さんの栄養管理を行ったり、地域住民への栄養指導などを行う仕事です。最近ではテレビ等で健康食品の機能性を説明したり、料理番組でレシピを紹介したり、プロスポーツ選手の栄養管理を行ったりと、華やかな場面で活躍されている管理栄養士の方も多く見られます。
しかし実際の管理栄養士の就職先はかなりブラック企業が多いのが現状です。実際に管理栄養士の就職先で多いのは、介護福祉施設や病院です。ここでの管理栄養士の仕事は利用者や患者さんへの食事の提供です。基本的には管理栄養士が献立を作成して、調理師が献立に基づいて調理を担当します。管理栄養士は調理や衛生管理など調理師を指導する立場です。しかし多くの管理栄養士がここでの人間関係に悩まされています。調理師はベテランの女性が多く、そこにはボス的な存在がいることが多いようです。新人で理想の高い管理栄養士ほど献立作成や調理師への指導に力を入れて取り組むため、調理師からすると余計な仕事が増え、また自分よりずいぶん年下の新人にとやかく言われるので面白いはずがありません。そこではじまるのが新人いじめです。特に調理師のボス的な人に嫌われると大変ないじめに合うようです。実際に管理栄養士は献立作成だけでなく調理師と一緒に調理をすることが多く、また居室も同じことが多いため一日中閉鎖的な環境で過ごすことが多く、それもストレスを感じる一因になっているそうです。ここでの人間関係で悩んでやめていく新人管理栄養士は多くいます。他の管理栄養士に相談しようにも中小規模の介護福祉施設や病院では管理栄養士が2、3名、ひどい場合は自分だけという場合もあります。
また、介護福祉施設では管理栄養士と介護士の仕事を両方やらされたり、病院では医師、看護師に比べて立場が弱く、他職種からの圧力にストレスを感じる管理栄養士は多いようです。
給与面でも管理栄養士の待遇は良いとは言えません。施設や病院によって違いますが、平均すると基本給16~17万、資格手当1~2万といったところです。早出や遅出など勤務時間も不規則で、少ない人数でやりくりしているので有給も自由にとることは出来ません。また管理栄養士は病院や施設に直接雇用される場合と、管理栄養士の派遣企業に就職し、派遣社員として病院や施設で勤務する場合があります。最近は直接雇用が減り派遣社員が増えています。派遣社員の管理栄養士の立場はよりひどい状況だそうです。派遣企業は資格さえあればどのような人物であれ、派遣すれば利益になるため、就職は非常に簡単で、教員の立場から見ても、人物面や学力にかなり難がある学生でも就職できます。よく就職率100 %などと大学の広告に書かれていますが、実際には3~4割程度の学生が派遣企業に就職している印象です。また私の印象ですが、福祉施設や病院に就職した学生の3割程度は1~2年で離職している印象です。
その他に管理栄養士の就職先として保健所や小中学校の栄養教諭(管理栄養士養成の大学では単位を満たせば取得できる大学が多い)、企業での食品開発の就職先もありますが、たいへん狭き門です。
テレビなどで管理栄養士をみてスポーツ選手の栄養管理の仕事がしたいといった学生が入学してくることもありますが、実際にそのような求人はありません。そのような仕事をされて成功している方は、自らフリーランスで、もしくは法人を立ち上げて活動するか、大学教員のポストにある人で、高い栄養の知識とビジネスセンス、パーソナリティーを持つごく一部の方たちです。
管理栄養士を目指している方も多くいらっしゃると思いますが、管理栄養士の仕事はテレビなどで見るような華やかなものではなく、ほとんどは地味な仕事で大変な思いをして悩んでいる方も多くいます。また大学の授業は月曜から金曜までいっぱいに詰まっていて、学外実習も多く、一般的な大学生のように自由に遊ぶ暇はあまりありません。また4年生では卒業論文や国家試験の勉強などで大変です。国家試験のことは
以前の記事に書いておりますので合わせてご覧ください。

いろいろ書きましたがそれでもやりがいを持って頑張っている管理栄養士の方も多くいます。もし管理栄養士を目指されているかたがいらっしゃれば参考のひとつにして頂ければうれしいです。
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